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賃貸住宅の遮音性能は、主に部屋と部屋の間で空気を伝わる音の遮断性能を示すD値と、上階から下階へ伝わる床衝撃音の大きさを示すL値という指標で評価されます。
L値はさらに、軽量床衝撃音(LL)と重量床衝撃音(LH)に区分されます。これらの評価基準に基づいた等級の目安を把握したうえで設計を検討することが、入居後の騒音トラブルを防ぐための第一歩になります。
土地活用として賃貸住宅の建築を検討するとき、多くの土地オーナーが気になるのが「音」の問題ではないでしょうか。
- 賃貸住宅の遮音性能はどんな基準で評価されるのか知りたい
- 騒音トラブルで入居者が退去してしまわないか不安がある
- 建てる前に、どんな構造や設計を選べばよいのか判断できない
この記事では、遮音性能の評価基準となる遮音等級や測定方法を解説したうえで、賃貸住宅の騒音対策と建築前に確認すべきポイントを整理します。読み終えるころには、遮音性能を土地活用の計画にどう反映させればよいかがわかり、入居者満足度の高い賃貸住宅づくりの判断材料が手に入ります。
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物件選びの初期段階からでもお気軽にご相談ください。
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遮音性能の評価基準が賃貸住宅で重要になる理由
遮音性能の評価基準とは、建物がどの程度音を遮ることができるかを数値や等級で表すための「ものさし」です。壁や床などの部位ごとに指標が定められており、日本産業規格(JIS)で測定・評価の方法が、日本建築学会の指針で建物用途に応じた性能水準の目安が示されています。
賃貸住宅において遮音性能が重視される理由は、騒音が入居者の暮らしの質に直結するからです。アパートやマンションなどの集合住宅では、隣室や上下階の生活音が問題になりやすい傾向があります。
騒音トラブルが賃貸経営に与える影響
騒音トラブルは、入居者同士の関係悪化だけでなく、退去や空室の長期化を招く要因になり得ます。せっかく建築した賃貸住宅でも、遮音性能が不足していると「音が響くアパート」という評判が定着し、入居者募集で不利になることがあります。
一方、遮音性能への配慮が行き届いたアパート・マンションは、入居者満足度を高めやすく、長期入居につながる可能性があります。修繕や後付けの防音工事は費用がかさむため、建築前の設計段階で遮音性能を確保しておくと、無理のない資金計画を立てやすくなります。
評価基準を知ることが土地活用の判断材料になる
まだ建物を建てていない土地オーナーにとって、遮音性能の評価基準を知る意味は「建築会社の提案を比較・判断できるようになること」にあります。
遮音等級の数値を理解していれば、提案されたプランの遮音性能について根拠を質問したり、複数の提案を比較したりするための判断材料になります。数値だけで適否を判断するのは難しいため、最終的な仕様は設計者などの専門家と一緒に確認していくと安心です。
土地の周辺環境によって必要な遮音性能は変わるため、幹線道路沿いや線路近くの土地では、外部騒音への対策も含めて検討しておきましょう。
遮音性能の評価基準となる主な指標と遮音等級
遮音性能の評価基準は、大きく「壁を隔てた空気音の遮断性能」と「床衝撃音の遮断性能」に分かれます。ここでは代表的な指標であるD値とL値を中心に、賃貸住宅の設計で押さえておきたい遮音等級を解説します。
空気音の遮断性能を示すD値
D値は、実際の建物において、隣り合う2つの部屋の間で空気を伝わる音(話し声やテレビの音など)がどれだけ遮断されるかを示す指標です。壁材単体の試験値ではなく、壁だけでなく床や天井などを回り込んで伝わる音も含めた、部屋と部屋の間の実際の性能を評価する点が特徴です。
測定した結果を、JIS A 1419-1「建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法-第1部:空気音遮断性能」の評価方法に当てはめて表します。
D-40、D-50のように表記され、数値が大きいほど遮音性能が高いことを意味します。日本建築学会の設計指針では、建物用途ごとに複数の適用等級が示されており、集合住宅の住戸間の界壁(住戸同士を仕切る壁)では、標準的な性能水準に対応する等級の目安の一つとしてD-50が挙げられています。ただし、これはすべての賃貸住宅で満たすべき基準や、十分な性能を保証する数値ではありません。求める水準や建物の条件によって適切な等級は変わるため、計画時の目安として捉えるとよいでしょう。
床衝撃音の遮断性能を示すL値(LL・LHの区分)
L値は、実際の建物内で上階の床から下階へ伝わる衝撃音の大きさを評価する指標です。床材単体の試験値ではなく、建物の中で測定される性能を表します。D値と異なり、数値が小さいほど遮音性能が高い点に注意が必要です。床衝撃音は、次の2種類に分けて評価されます。
| 区分 | 主な音の例 | 数値の見方 | 性能を左右する主な要素 |
|---|---|---|---|
| 軽量床衝撃音(LL) | スプーンの落下音、スリッパの足音 | 数値が小さいほど高性能 | カーペットなど床仕上げ材の種類 |
| 重量床衝撃音(LH) | 子どもが飛び跳ねる音 | 数値が小さいほど高性能 | 床の構造体の厚さや重さ |
軽量床衝撃音はカーペットのような柔らかい床仕上げで改善が期待できる一方、重量床衝撃音は床の構造体そのものの影響を強く受けます。
日本建築学会の設計指針では、集合住宅の標準的な性能水準に対応する等級の目安として、軽量床衝撃音でLL-45、重量床衝撃音でLH-50が挙げられていますが、これも計画時の目安であり、建物用途や求める水準によって適切な等級は変わります。
なお、建材カタログではΔL等級(デルタエル等級)という表記を目にすることがあります。これは床仕上げ材によって床衝撃音をどれだけ減らせるかを示す等級で、建物全体の実際のL値とは異なるものです。建材単体の試験値だけで完成後の性能が決まるわけではない点に注意しましょう。
住宅性能表示制度における音環境の等級
住宅品確法に基づく住宅性能表示制度では、「音環境に関すること」として遮音対策の評価項目が定められています。
- 重量床衝撃音対策
- 軽量床衝撃音対策
- 透過損失等級(界壁)
- 透過損失等級(外壁開口部。窓や玄関ドアなどを指します)
透過損失とは、壁などを通り抜けるときに音がどれだけ小さくなるかを示す値のことで、いずれの項目も数字が大きいほど対策の程度が高いことを示します。
ただし、項目ごとに評価の方法や等級の範囲が異なるため、詳細は制度の資料で確認が必要です。また、この制度の等級はD値・L値とは評価の枠組みが異なり、単純に読み替えることはできません。
音環境の分野は選択項目のため、すべての住宅で評価されるわけではなく、設計内容や仕様に基づく評価であって、完成した建物の実際の測定値を保証する制度ではない点も押さえておきましょう。
参照元:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」
遮音性能の測定方法と評価基準の確認手順
評価基準の数値は、定められた測定方法によって確認されます。ここでは、どのように遮音性能が測定されるのか、そして土地オーナーが計画段階で性能を確認する方法を説明します。
JISに基づく遮音性能の測定方法
遮音性能の測定と評価は、対象ごとに異なるJIS規格で定められています。

空気音の遮断性能はJIS A 1417に基づいて測定し、JIS A 1419-1の方法で評価します。床衝撃音は、軽量床衝撃音がJIS A 1418-1、重量床衝撃音がJIS A 1418-2に基づいて測定され、JIS A 1419-2の方法で評価されます。
床衝撃音の測定では、軽量床衝撃音はタッピングマシンという機械で床を叩き、重量床衝撃音はバングマシンやゴムボールといった衝撃源を用いて、下階で音の大きさを計測します。バングマシンとゴムボールでは衝撃の性質が異なるため、どの衝撃源による測定値なのかを確認することが大切です。
空気音の測定では、音源側の部屋でスピーカーから音を出し、受音側の部屋との音の大きさの差を、音の高さごとの範囲に分けて測定します。
実際の建物での測定値は、設計値や実験室での試験値と差が出ることがあります。壁と床、壁と天井などが接する部分の隙間や、施工品質も遮音性能を左右する要素になります。
建築前に遮音性能を確認するためのチェックポイント
まだ建てていない段階の土地オーナーは、実測ではなく設計内容から遮音性能を確認することになります。建築会社との打ち合わせでは、次の点を確認するとよいでしょう。
- 界壁と界床(上下の住戸を隔てる床)の遮音等級の設計上の目安(D値・L値)
- 目標とする数値の根拠と、壁や床をどの材料・厚さ・順番で構成するか
- 使用する部材の性能試験の結果を示す書類(実験室での測定値)
- 給排水管など設備音への対策の有無
- 窓や配管が壁を貫通する部分の処理方法
- 完成後に遮音測定を行うかどうか
数値の根拠を丁寧に説明してくれる会社であれば、遮音性能への意識が高いと判断する材料になります。「静かです」といった感覚的な説明ではなく、評価基準に基づいた数値で説明を受けることが、建築後のトラブル防止につながります(関連記事:軽量鉄骨造の特徴を詳しく解説)。
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賃貸住宅の遮音性能を高める構造と騒音対策
評価基準を理解したら、次は実際にどう遮音性能を高めるかです。遮音性能は構造の選択と設計の工夫、部材の組み合わせによって決まります。
構造による遮音性能の違い
まず押さえておきたいのは、遮音性能は構造種別だけで決まるものではないという点です。どの構造でも、界壁・界床の仕様と施工品質を組み合わせることで性能が確保されます。
一般に、重い材料ほど音を通しにくいという基本的な性質(質量則)があり、RC造(鉄筋コンクリート造)はコンクリートの重さを活かして遮音性を確保しやすい構造です。ただし、RC造であっても床の厚さや仕上げによって性能は変わります。
鉄骨造では、石こうボードの多重張りや壁内部への吸音材の充填、遮音シートの併用といった部材の組み合わせで界壁・界床を構成し、部材ごとの試験値をもとに仕様を検討します。
構造体の重さに頼らないぶん、目標とする性能に対してどのような壁・床の構成が必要かを、設計段階で具体的に確認しておくことが重要です。木造アパートでも遮音対策は可能ですが、構造体の重さが小さいぶん、界壁・界床の仕様設計がより重要になります。
アヴェントハウスでは、不整形地や狭小地といった敷地条件に制約がある土地でも、界壁・界床の仕様検討を含めた賃貸住宅の計画に対応しています。
設計と部材でできる騒音対策
構造に加えて、設計段階の工夫によって騒音トラブルのリスクを抑えやすくなります。代表的な対策には次のようなものがあります。

- 寝室と隣戸の水回りが接しないよう間取りをずらす配置計画
- 石こうボードなどの面材と吸音材、隙間処理を組み合わせた界壁・界床の仕様
- 外部騒音に対する二重窓や防音壁の設置
- 給排水管の防音被覆や配管ルートの工夫
注意したいのは、吸音材と遮音の役割の違いです。グラスウールなどの吸音材は、壁の内部で音の反射や共鳴を抑える役割を持ちますが、吸音材を入れるだけで必要な遮音性能が得られるわけではありません。
ボードなどの面材の重さや枚数、空気層の取り方、隙間の処理などと組み合わせてはじめて、性能が確保されます。
間取りの配置計画は、部材を追加する対策に比べて建築費への影響を抑えやすい方法です。ただし、住戸の面積効率や配管計画にも関わるため、設計全体の中で検討する必要があります。
不整形地など敷地に制約がある土地では住戸の配置に工夫が求められるため、遮音性能まで踏まえた設計対応力のある建築会社を選ぶことが判断のポイントになります。
立地環境に応じた外部騒音への対応
土地の周辺環境によって、必要な遮音対策は変わります。幹線道路沿いや鉄道近くの土地では、外部からの交通騒音などを測定・想定したうえで、窓の遮音性能を高める設計が求められます。
外部騒音の大きさは、人の耳の感覚に近づけた単位であるdB(A)で表されます。環境省が定める騒音に係る環境基準では、一定時間の騒音を平均的な大きさに換算した値であるLAeq(等価騒音レベル)が評価に用いられています。
この環境基準は屋外の生活環境を保全するための基準であり、窓や外壁に必要な遮音性能を直接定めるものではありません。周辺の騒音レベルの目安は、その土地の音環境を判断する材料として活用し、必要なサッシや窓の仕様は、室内でどの程度の静かさを目指すかや建物の配置を踏まえて個別に検討することになります。
二重窓は、仕様によって外部騒音の低減が期待できる対策の一つで、断熱性の向上にも寄与します。ただし、効果はガラスの構成や気密性などによって変わり、換気口や隙間から入る音も影響するため、窓だけでなく開口部まわり全体で確認することが大切です。
一方、閑静な住宅街では、外部騒音より住戸間の生活音対策の優先度が高くなる傾向があります。土地の条件を診断し、その土地に必要な遮音レベルを見極めることが、過不足のない建築計画を組み立てる判断材料になります。
参照元:環境省「騒音に係る環境基準について」
まとめ
遮音性能の評価基準には、部屋の間の空気音を評価するD値と、床衝撃音を評価するL値(軽量のLL、重量のLHに区分)があり、数値の見方や測定方法が異なります。床や壁の構造は建築後の変更が難しいため、設計段階で目標とする遮音等級とその根拠を確認しておくことが、騒音トラブル防止の要点になります。
あわせて、そもそも賃貸住宅建築がその土地に適しているかを、土地条件や家族の方針から見極めることも欠かせません。土地活用の方針がまだ固まっていない段階でも、土地条件の診断や収支シミュレーションから専門家に相談し、納得できる判断につなげていきましょう。
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